みずほ銀行オンライン・システム障害について 〜 注27

公開: 2021年10月31日

更新: 2021年11月1日

注27. ジョブ型雇用

日本の雇用制度は、終身雇用と年功序列を基本として、従業員は新入社員として就職した企業で一生、業務を遂行する。これは、人がある村に生まれ、働き、家族を持ち、死んでゆくライフサイクルを模した人生のモデルに似ている。これを日本では、「メンバーシップ型」雇用と呼んでいる。コミュニティのメンバーとして生きる、「村社会」での一生ににているからである。

これに対して、職務記述書に記載されている職務の内容と、その職務を遂行するために必要な知識や経験に基づいて仕事を選び、選考を受けて、その職に就く米国の雇用制度は、ジョブ(職務)が決まっているので、「ジョブ型」雇用と呼ばれる。日本社会の雇用制度では、入社時には「どのような職務を遂行するのか」は、明確に決まっていない。特に、一定の経験を積んだ後、どのような職務を担当するのかは、全く想像できない。

ジョブ型雇用では、エクゼンプト制の場合、当該の職務が組織内に存在する限りにおいて、その職は保証されるが、組織内にその職務がなくなると、解雇の対象となる。これに対して、「メンバーシップ型」雇用を採用する終身雇用の日本の組織では、従業員は採用(新入社員)時に決められた職務が企業内に無くなった場合、企業は従業員を解雇せず、別の職務に従事するように働きかける。このため、失業率は、低く押さえられる利点がある。

参考になる読み物

大場 充著、「ソフトウェア技術者: プロの精神と職業倫理」、日科技連出版(2014)